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「ナウスが教えてくれるから、迅速な対応で未然に防ぐ事ができるんですよ」
「ナウス様もお忙しいのに、有り難いねぇ……もう立派な領主様だねぇ」
「ええ、その通り」
「でも、黒騎士さんだって、いつも忙しくしてるもんねぇ」
「まあ、俺はナウスのパシリみたいなもんですから」
「ぱしり……?」
「使いっぱしりの事ですよ」
「なるほどねぇ…」
二人でクスクス笑う
この数週間でナウスは感知にますます磨きをかけ、もはや人間セキュリティーシステムと化していた。
効果範囲も、街の西半分の殆どをカバーでき、犯罪の芽や、困っている人を見つけたら、すぐ俺に知らせてくれる。
そいで俺が現場に急行するという訳だ。
ナビ付きなので、近道抜け道なんでもござれ。
流石に俺一人では手が回らない時もあるが、キース達もいるし、元々が治安のいい街だから……
というか、そんな物騒な事は殆ど起こらない。
だいたいが、扉が壊れたとか、迷子が泣いてるとか……
そういうショボ……平和的な問題ばかりだ。
ぶっちゃけただの便利屋である。
お代は貰わない。
……当然だ。
なにせ『善意』だからな!
いやー流石は俺だな。
……代わりに、いらない金物があれば分けてもらったりしているが。
別に鎧の材料にするためとかそんなんじゃないし。
「それじゃパシリ頑張ってねぇ」
「ええ、ありがとうございます」
おばさんに別れを告げ、次の場所を目指す。
「よお、黒騎士さん。今日もお仕事かい?」
今度はテラスの前でおじさんが。
この人、いっつもここにいるな。
「ああ、おじさん。やだなあ、仕事だなんて、俺は好きでやってんですよ」
「そうかい、あんたも物好きだな。今日は何やってんだい?」
「えっと……迷いボルンの捜索の後、集会所ですね」
「迷い……まさか、まぁたチャッピーか?」
おじさんが眉を上げる。
「……ぷっ。やっぱり有名なんですか」
「いや、あんたからもう三回は聞いたでよ」
「あ、それで……いやあ、ロイに頼まれちゃって」
「……それなら、『三本の鍬』にいってみな。」
「あそこですか?」
「最近、店の裏にオレンジのボロンが住み着いた、ってベンタスの奴が自慢してたぞ」
「ああ、多分それだ。ありがとう、おじさん」
「かまわんかまわん」
こうして住民達とのコミュニケーションを密にする事で結構、たくさんの情報が集まるのだ。
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