プロローグ

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ピ…ピ…ピ… 部屋中に響く電子音。 そして、ベッドの上で横になる一人の少年。 生命維持装置と人工呼吸器を付けられ、腕には点滴を打たれている。 少年は顔全体に凄まじい量の汗をかき、苦しい表情をしていた。 「ハル!しっかりして!私…アナタがいないと……」 ベッドの周りには男女合わせて8人がいた。 「暖斗!しっかりしろ!また、前みたいに遊ぶんだろ!」 みんなが呼びかける中、少年が目を微かに開き、涙を流しながら口をひらいた。 「……み……ん……な…ありが……とう…玲…奈…ご…め…んな…父…さん…母……さん……俺を…産ん……で……くれて…あり……が…とう……それと……ごめ…ん…な…さ………」 ピーーーーーーーーー 「ハルっ!いや、いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」 「暖斗?暖斗ぉぉぉぉ!!!」 部屋にはみんなの泣き声と心電図の甲高い音だけが響いていた。 草薙 暖斗 享年 18歳。 それは、あまりにも早すぎる死だった。
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