7人が本棚に入れています
本棚に追加
ピ…ピ…ピ…
部屋中に響く電子音。
そして、ベッドの上で横になる一人の少年。
生命維持装置と人工呼吸器を付けられ、腕には点滴を打たれている。
少年は顔全体に凄まじい量の汗をかき、苦しい表情をしていた。
「ハル!しっかりして!私…アナタがいないと……」
ベッドの周りには男女合わせて8人がいた。
「暖斗!しっかりしろ!また、前みたいに遊ぶんだろ!」
みんなが呼びかける中、少年が目を微かに開き、涙を流しながら口をひらいた。
「……み……ん……な…ありが……とう…玲…奈…ご…め…んな…父…さん…母……さん……俺を…産ん……で……くれて…あり……が…とう……それと……ごめ…ん…な…さ………」
ピーーーーーーーーー
「ハルっ!いや、いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
「暖斗?暖斗ぉぉぉぉ!!!」
部屋にはみんなの泣き声と心電図の甲高い音だけが響いていた。
草薙 暖斗
享年 18歳。
それは、あまりにも早すぎる死だった。
最初のコメントを投稿しよう!