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『何が?』
「み……あいつ、予告状出してんねんで?パトカーの一台や二台止まっててもええ筈やのに、どっからどう見たかて平和なご町内やんか」
『……確かに』
実行部隊の三人とは離れているものの、画廊が見える別の場所に拠点を構える指令部隊三名は、静まり返った画廊を見渡して目を見合わせた。
『……三人とも、気をつけてね』
入れ替わりに聞こえたのは、結城の声だった。
元々言葉数が多い方ではないが、こういった時に彼が発する言葉は後々重要な意味を成す事を、他の面子は十分に知っていた。
『……やっぱり何か、気になりますか?』
『うん。あちこち隠れられてても面倒だし、中で一斉に待たれても身動きとりにくいでしょ。通報して無いならしてないで何かややこしい事情も考えられるし、絵画は初めてだよね?
……今回はあんま、いい状況とは言えないかもね』
「……まじっすか」
どういうわけだかこれまでは全戦全勝。
少々の乱闘や指令側のヘルプはあったが、特に目立つピンチもなくここまでやってきた。
絵画は初めてとはいえサイズは十二号。
それほど大きなものでもないが、結城の言葉には妙な重みが感じられ、陽、真騎、詩葉は顔を見合わせる。
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