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  画廊から少し離れたところに停められたミニバンは、とても今現在犯罪の司令塔を行っているような物騒な代物には見えない、可愛らしいモスグリーン。 しかしその実、中は大量のモニターと数台のパソコン、そして無線が積まれたカスタマイズカー。 渋る尊から無理矢理予算と愛車をふんだくり、五人がかりで作り上げた移動式拠点である。 重い空気に包まれる、狭苦しい車内。 絵画だけを重点的に映し出すカメラは監視の役割としては的確かもしれないが、泥棒の情報把握としては今一つ分が悪い。 「あ、入った」 結城の声で中央のモニターに目をやると、一気に盗りに掛かった三人の後姿。 予告の時間には少々早いがこの際仕方がない。 青いキャンパスに手をかけ、固定されていたワイヤーはペンチで手早く切られていく。 このまま不安は取り越し苦労で終わるのか。 そう思った時だった。 『……待って!』 詩葉の声でモニターを見ると丁度、絵画に伸びていた手が、突然作業を中断してフレームアウトした所。 絵はまだ、そこにある。 それ以上の状況は、この小さな車の中では確認することが出来ない。  
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