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『はー……やっと"らしく"なって来たと思ったら、随分タチ悪そうなの出てきたなぁ……』
青い絵画、金の額縁、そして白い壁。
それ以外何一つ映し出すことの無いモニターの変わりに頼れるのは、三人の発する声しかない。
どうやら慌ててはいないらしい。
ただ、あまり良い展開ではないらしい。
『なぁ、警備さんとかどこにおるん?俺ら一応事前にご挨拶したんに、全くお迎えがないんやけど?』
真騎の声は冷静沈着、そして相変わらず相手を小馬鹿にしたような口調。
「警備はどこ……って、警備以外に誰が来るんだよ?」
「支配人かしら?ねえ詩葉、当たり?」
何も見えないモニター、怒鳴るような相手の声は僅かに聞こえるが拾いきれず、やはり彼らの声を頼りにするしかない。
『ハズレ』
低い詩葉の声は恐らく、こちら宛の返答だろう。
「じゃあ何?答えられる範囲で!」
本人たちはいたって冷静らしいが、見えない側としては気が気でない。
少々当惑気味に語調を強めるが、それの答えは無いまま、代わりに聞こえるのは真騎の不適な笑み。
『ま、ええわ。邪魔すんなら皆同じやし』
指令側のインカムに遠く響く怒号、近くの笑い。
『Are you ready?』
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