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恐らく頭数、華奢な体つき、詩葉という明らかな女性の存在を目の当たりにし、相当なめていたのだろう。
それがあっというまに覆され、そのまま地面に沈む仲間に一様に目を丸くし、男達は黙って一歩、後退りした。
「……何やってんだよお前ら!これ盗られてもいいのかよ!」
どうやら一人、リーダー格の男がいるらしい。
奮い立たせるように構え直して出方を待つ彼らに、薄ら笑みを浮かべた詩葉が歩み寄る。
「そんなにこれ盗ってほしくないの?なんで?」
さっきは間合いを詰めていた癖に、一人やられて急に怖じ気づいたのか、詩葉が一歩すすむ事に綺麗に平行移動されていく集団。
「うるせえ!しらばっくれんじゃねえよ!」
一人どうにか距離を縮めようとしているらしいリーダー格の男が、巻き舌気味で怒鳴る。
「んー……別に俺ら、モノ自体に興味はないんやけどね」
なあ?という真騎の声に、頷く陽と詩葉。
恐らくこの余裕は、彼らにとっては何よりの恐怖刺激だろう。
「なら、とっとと出てけ糞ババア!」
「……まあ、お下品ね」
おどけて返しながら、詩葉の目は笑っていない。
そんな詩葉に肩を竦めながら真騎がちらりと時計に目をやると、零時を少し過ぎたところ。
お約束の時間を少し過ぎてしまっている。
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