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「さて」
ポキポキと鳴る陽の両手。
その隣で首を回す真騎。
詩葉の色の無い微笑。
「どっちでもええねんけど、邪魔すんならちょーっと寝てて貰わなあかんなぁ」
数分後
「……見た目いかちーからちょっとは手応えあるかと思ったのになあ」
すっかり静まり返った部屋にごろごろと横たわる男達をかき分け、真騎と詩葉はのんびりとワイヤーを切り離していた。
恐らく絵画を外したら本格的に警報装置が鳴り始め、警備会社も駆けつけるだろう。
意識はあれど動けない者、完全に気絶している者、さまざまではあるが少なくとも誰一人彼らを阻止できるような状態ではない。
『……で、なんだったの結局?』
事態の収拾はわかったのだろう、落ち着きを取り戻したのか、やっと征士の声が聞こえ始める。
「さあ、わかんね。でも、こんなトコでヤンキーに絡まれるとは思わなかったわ」
『ヤンキー?』
「どっからどうみてもヤンキーだったわよ?警備員なんか一人もいない」
「そうそう。渋谷とかにいそうな」
『……意味わかんね』
ありのままを伝えてはいるが、征士達に意味がわからないのも当然だろう。
三人もさっぱり意味がわからないまま、とりあえず邪魔されたから片付けただけなのだから。
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