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  「あ、そうだそうだ。どうだった早雪くん?調べといてもらったアレ」 ほんのりと湯気で曇る眼鏡の彼は全く何も考えていないように見えたが、やはり気にかけていたらしい。 勝手に腕を取り、笑顔でぴたりとひっつく愛凛をちらりと見てから、早雪は淡々と報告を始めた。 「親に関しちゃかなり繁盛してるって事くらいなんだが、問題は息子だな。やりたい放題のとんでもないドラ息子で、うちの系列にも結構来てるらしいじゃないか」 「あ、やっぱ?」 「親の画廊が上手く行ってるもんだから、その金にモノ言わせてドラッグパーティーだの乱交だの、やりたい放題だったらしい。 警察もマークはしてたって話だけどな。……愛凛頬擦りするなよ、化粧がつくだろ?」 眼鏡が白く曇るのも、汁がレンズにはねるのも気にせず麺を啜ってはいるが、やはり目の前の新婚夫妻は多少気に障るらしい。 わずかに不服そうな表情を浮かべながらも特に口を出す事はないまま、早雪の話には興味深そうに耳を傾けていた。 「でも、証拠がなかったんでしょ?クスリとか」 「……よくご存じで」 知ってて調べさせる、知ってて聞く、それは彼にとっては当たり前。 その情報は一体どこから仕入れてくるのか未だ闇の中だが、兎に角ラーメンを啜る事だけは止める事無く箸だけが早雪に向けられた。 「当たり前よ。だって知ってるから予告出したんじゃん?」 その言葉が、何を意味するのか。  
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