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それは、初めてKを名乗る予告上が送られたと知らされた日。
彼らはそれぞれの日常生活から、一斉にある場所を目指して歩みを速めている真っ最中だった。
征士は帰宅ラッシュに揉まれて地下鉄で。
真騎は日報を猛スピードで書き上げて自転車で。
結城はゼミを早めに抜け出し。
栞はフルートを持ったまま。
そして陽と詩葉はバイト中に休憩をとって。
教えられた裏口からずかずかと上がりこみ、暗証番号を押すのももどかしくあき始めたドアに体をねじ込み。
乗り込んだエレベーター手押すボタンは最上階。
彼らが目指す場所、それはただひとつ。
「尊てめぇ!勝手に何しやがったー!!」
そこでは、メンバーに何の許可も得ずさっさと予告上を送りつけた張本人が、涼しい顔でカップラーメンを啜っていた。
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