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「なんじゃろな、なんじゃろなこの箱の中身はなんじゃろな」
そんな、しわがれた声が天井越しに聞こえた。なんだろうと思い黒い天井だと思われる物をを真っ直ぐに見つめていると。
「なんじゃろな、なんじゃろなこの箱の中身はなんじゃろな」
人の気配が天井の直ぐ上で止まる。しばらくすると天井が割れだして光が溢れ、その間からは皺だらけの老婆が僕を真正面から見下ろしていた。
老婆と目があったと思ったら「なんじゃい黒髪じゃないか」と言って視界から消えてしまった。
きっと僕の頭髪の事を言ったのだと思うが僕の髪色は老婆にとって不都合があるのだろうか。
老婆に聞いてやろうと思ったが、動こうにも手足と首に錠の様な鉄の塊が打ち付けられていて身動きが取れない。唯一自由な目線を必死に漂わせる。どうやら僕は長細い箱の中に横たわっているらしい。天井だと思っていた物はどうやら蓋だったようだ。周りには低く黒い壁が見える。そして天井は赤褐色の土で出来ていている。
「なんじゃろな……なんじゃろな……」
遠くの方で老婆の声が聞こえた。
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