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「おばあさん?」
老婆は遠くを見ながら口をひん曲げていた。
「……息子さんはどうして此処に?」
「面白い事を聞くのぉ、お前と同じに決まっておる」
「僕と?」
「……お前覚えてないんか? 自分がどうして監禁されたか」
「………はい、息子さんも監禁されてるんですか?」
「そうじゃ、他にもおる。そりゃあもう沢山の数じゃ」
「誰がそんなこと……」
老婆は突然僕の足元にしゃがんで錠の辺りを触っている。
「おばあさん?」
「解いてやってるんじゃ、じっとしておれ」
「息子さんの為の鍵じゃ…」
「鍵は一度使っただけでは壊りゃあせん。」
ごもっともな言い分なのだが、その鍵が今にもポキッと折れてしまいそうな程錆び付いているのだ。しかし、心配とは裏腹に僕の無事右足は自由になった。
「始めたのは国の偉い人じゃよ」
左足の錠に取り掛かるのと同時に老婆は口を開いた。
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