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部屋を見渡すと黒い棺がいくつも並べられていた。箱の蓋には銀色で十字架が描かれている。
「……こんなに」
目で数えるだけでも数十とある棺は小さな部屋に一定な距離を保ちながら並べられている。その約半分は蓋が開きかかっているのだが部屋が薄暗いせいか中身は此処からでは確認出来ない。
「ここは教会の地下でな、棺に入っておる者は疫病にかかった牛の死肉を無理やり食わされたんじゃ」
老婆は僕に背を向けて喋り出した。
「死肉を食べた? 僕が!?」
もしそれが事実だとしても僕の体は至って健康だ。
「…お前はなんともないのか?」
「はい、全く。少し首が痛いくらいで…」
「…死肉を食べた者は狂うのじゃ、突然暴れ出したりするのぉ」
「だから拘束して棺に閉じ込めたんですね」
「そうじゃ…………、のう黒髪いくらお前でもわかるだろう?」
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