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デブリ帯の静けさ……これは数々の戦場を渡り歩いた彼でさえも珍しく、周波数を告げる機械音が鳴り響くコックピットの中で、しばしの間眠っていた。
どれだけの犠牲を払ったのだろう。
どれだけの戦士たちが血を流し、家族を想いながら散ったのだろうか。
「このままこの静寂が続いてくれれば良いな……そうだろう?」
誰に問いかけたのか。
彼にはそんなことは関係なかったが、おそらくこのデブリ帯に蔓延する亡霊たちにも聞こえていたのだろう。
彼は気が付かなかったが、レーダーに少しノイズが入った。
まるで彼の問いかけに肯定の意を示してくれたかのように。
「なにのんびりしているんですか!?早く帰投して下さい!オグン大佐!」
「んぉ……?あぁ了解した。イルメルダ・オグン、これより帰投しますよっと♪」
今まで眠っていた彼の名は、“イルメルダ・オグン”。
地球連邦統合政府第9独立部隊の隊長をつとめる若きエースだ。
しかし、その部隊の実態は厄介者の寄せ集め。つまりは居ても居なくても変わらないと判断された言わば“邪魔者”である。
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