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「おばちゃんッ、おはよ!!」
片方の肩にランドセルを担(カツ)ぎ、大きな声で挨拶をする。
朝日に照らされた顔には
もちろん、人当たりのいい笑顔を張り付けて。
「あらぁ、凪(ナギ)ちゃんじゃない。今から学校?」
平屋の小さな家から出てきたおばちゃんは俺を見ると、嬉しそうに片手を上げて大きく手招きした。
そしてポッケから俺の好きなハッカ味の飴を取り出し俺の手に握らせた。
子供にしてはかなりませていた方だと思う。
大人はアホばっかだと思ってた。
ちょっと愛想振りまけば、みんな俺の言いなり。
先生もお袋も親父もみんなだ。
登下校の時に必ず通る道にポツリとある一軒家に住むおばちゃんもその1人。
ヤツの裏の顔はクレーマーおばさん。
しかも噂好きで味方につけておけば何かと役に立つ。
小学3年生にして世の中を巧く生きる術を心得ていた。
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