ある日森の中、熊さんみたいな人に出会った

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直前で後ろに跳んだ為直撃は免れたが、輪廻の頬には一筋の赤い線が走っていた。 「…………」 輪廻は無言でそれに触れる。 「よく避けたじゃねえか小僧。だが次で終わりだ!」 「クハッ、俺に傷を付けるとはやるじゃねえかオッサン。少し本気出してやるよ」 再び斧を振りかぶって迫って来るボスに、輪廻はどこか悪人めいた笑みを浮かべ、迎え撃つべく構えをとった。 「死ね小僧!」 「テメェらはさっきからそればっかだな、出来ねえ事を言うんじゃねえよ!」 振り下ろされた斧の横腹に輪廻は裏拳をたたき付けた。 その途端、鉄の砕ける鈍い音を響かせ、斧は粉々に砕け散った。 「何!?」 輪廻は更に驚愕で動きを止めたボスの顎を蹴り上げる。 「ガッ!」 「まだだ!」 血を吐き、数十センチ浮き上がったボスの脇腹に続けて回し蹴りを叩き込む。 吹っ飛び木に激突したボスに追随し、腹に鋭い蹴りを突き刺す。 ズドンと背後の木がへし折れる程の衝撃に、ボスは苦悶の呻きを上げ意識を失った。 「はあ~、駄目だな。少し感情的になっちまった」 闇色の髪を掻き上げ、自嘲気味に呟き、ボスに背を向け歩き出した。
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