その頃の優貴

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「いたた~……って、ここ何処?」 僕、七海優貴が痛む背中を押さえながら目を開けると、そこは窓一つ無い見たことの無い部屋だった。 電気無いのになんで明るいんだろ……。 なんてどうでもいいことを考えていると、この部屋に僕以外の気配がある事に気付いた。 僕がそっちを見ると、そこには十人程の真っ黒のローブを着た人達が居た。 えっと……これはいったいどういう状況だろ……? 宗教団体か何かかな? そんな事を考えていたら、ローブの人達の中から例に漏れない真っ黒なローブを着た人が一人、ローブのフードを捲り上げて歩み出して来た。 流れるようなブロンドの髪。綺麗な碧眼の瞳。まだ幼さの残る整った顔立ちの少女だ。 「勇者様。私はこのシルフィード王国の第二王女、イリア=シルフィードです。勇者様のお名前は?」 「え……?」 イリアの言葉に僕は周りを見回してみる。 もしかして勇者って僕の事かな? どう見ても僕の事見てるし、ていうか僕の後ろには誰も居ないから多分僕なんだろうな……。 「えっと、僕の名前は七海優貴だよ。よろしくね」ニコッ 「は、はひっ…///」 (か、カッコイイ……) 顔赤いけどどうしたんだろ? 風邪かな? 「な、何を……///」 (か、顔が……) 僕はイリアの額に自分の額を当てて熱が無いかを確かめてみた。 「熱は無いみたいだね」 「大丈夫でふ……」 「そう?なら、良かった」
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