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「小屋?」
声のする方を辿って行くと、そこには一軒の小屋があった。
声はあそこから聞こえてるな……。
輪廻はとりあえず中の人に気付かれないよう窓から中の様子を覗いた。
そこに居たのはいかにも盗賊といった風貌の、柄の悪そうな十人の男。
そしてその中心に居るこの盗賊達のボスであろう熊みたいにでかい男だった。
「ふむ、金と食料が早速見つかったな」
これは何としてでも奪う、もとい貰わなくては。
「おい、そこで何してる」
俺がそんな事を考えていると突然背後からそんな声が聞こえてきた。
輪廻は慌てる事無く振り返り、盗賊達の仲間であろう柄と見た目の悪い、あと頭も悪そうな男に向き直った。
「そうだな、何をしているかと聞かれたら中を覗いてたと答えよう」
「おいガキ!テメェ何者だ!」
「何者か……漠然とした質問だな。お前の敵だと言えば十分か?」
「ああ、十分だ。大人しく死にやがれガキィ!」
輪廻がそう答えた途端、男は腰に挿していた剣を引き抜き、それを振りかぶって迫って来た。
「愚かしい奴だ」
輪廻はその男を冷めた目で見、振り下ろされた剣を冷静に見極め、一歩横に体を逸らすだけで躱し、カウンターの拳を男の腹に叩き込んだ。
「グハッ」
「おっと、汚いな」
胃液を吐き出し倒れる男から輪廻は飛び退いた。
「胃液よりかはまだ血の方がまだましだな……あんたらはどう思う?」
輪廻はぐるんと首を振り返らせる。
そこに居たのは仲間がやられた事に怒り心頭の小屋に居た男達だった。
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