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「お前はもっと楽しませてくれよ、クハッ」
輪廻は足元に転がっていた男をボスに向かって蹴り飛ばす。
ボスは飛んで来た男を受け止め、輪廻に怒りの形相を向ける。
だが、それでも感情に任せてむやみに飛び掛かっては来ない。
「どうしたぁ?早く掛かって来いよ」
自身の武器であろう輪廻よりも大きい斧を構え、隙を伺うようにこちらを睨み付けてくる。
しかしそれは無駄だろう。
輪廻は全く構えたりしていない為、隙だらけなのだから。
それでも飛び掛かって来ないのは輪廻の力を警戒しているが故だ。
だが遂にその手に持つ斧を振りかぶり、輪廻に襲い掛かった。
「速いな」
輪廻は驚いた。
そのスピードがおおよそ人間の出せる速さを遥かに越えていたからだ。
あれの所為か?
輪廻が注目したのはボスの足。
ボスの足に茶色の光が纏われていたのだ。
魔力での身体強化とかそんなとこか……。
さっきよりかは楽しめそうだな。
「でも……まだ遅い!」
輪廻は振り下ろされた斧を後ろに下がって躱した。
しかし、ボスは避けられたにも関わらず、にやっと笑った。
何か来る……。
「チッ!」
その笑みに気付いた輪廻は嫌な予感を覚え、咄嗟に後ろに大きく跳んだ。
「アースニードル!」
ボスがそう叫んだ途端、さっきまで輪廻の立っていた地面が盛り上がり、鋭い針となって輪廻に迫った。
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