8人が本棚に入れています
本棚に追加
/97ページ
豪華客船・ヘレティック
2月20日、定刻より1時間前、
彼、高野翔梧は港・熱下田港にいた。
客船が多く入港するその港には
既に巨大な、
まるでというより
まさに豪華客船といった客船が
そこにはあった。
もちろんその客船を見ていたのは翔梧一人じゃない。
というより、そもそもメール、招待状が届いたのは翔梧一人じゃなかったのだ。
あえて大まかに紹介しよう。
ここには今、大勢の招待客、そしてその中に翔梧の友人が7人いる。
翔梧の親友であり、
野球少年である阿津田 水戸(あつた みと)、
翔梧の幼なじみで片思い相手であり、
パソコン能力に長けた天才、
山倉 菜粡沙(やまくら なづさ)、
正直、ライバルであり
幼なじみなやつ、
中之島 孝 (なかのしま たかし)
他知り合い数名。
正直、翔梧を含む全員が
この場に着いて驚いていた。
何たって怪しいメールに怪しい招待状、
人に相談してもさすがに恥ずかしい。
だから誰も誰かに言わなかった、
だから誰にもわからず、
誰もがここに来るまでわからなかった。
そしてこの状況になった。
水戸
「にしてもあれだな!
みんなこんなのに応募してたんだな!」
菜粡沙
「うっさい!…ハワイ行きたかったからよ!“私は!”」
孝
「…いや、みんな行きたくて応募してたんだろ。
そもそも水戸、お前も人のことは言えないだろう?」
水戸
「まったくさ(笑)」
ケラケラと笑顔で笑う水戸、
その横でむぅ、と顔をしかめる菜粡沙、
そしてクールに対処している孝。
そんな友人達を前に
不思議と不安感は薄れていった。
なによりみんなと一緒という感情が翔梧を支えていた。
だから、彼はただ日常的に
友人達と会話を楽しむことにした。
最初のコメントを投稿しよう!