豪華客船・ヘレティック

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豪華客船・ヘレティック

2月20日、定刻より1時間前、 彼、高野翔梧は港・熱下田港にいた。 客船が多く入港するその港には 既に巨大な、 まるでというより まさに豪華客船といった客船が そこにはあった。 もちろんその客船を見ていたのは翔梧一人じゃない。 というより、そもそもメール、招待状が届いたのは翔梧一人じゃなかったのだ。 あえて大まかに紹介しよう。 ここには今、大勢の招待客、そしてその中に翔梧の友人が7人いる。 翔梧の親友であり、 野球少年である阿津田 水戸(あつた みと)、 翔梧の幼なじみで片思い相手であり、 パソコン能力に長けた天才、 山倉 菜粡沙(やまくら なづさ)、 正直、ライバルであり 幼なじみなやつ、 中之島 孝 (なかのしま たかし) 他知り合い数名。 正直、翔梧を含む全員が この場に着いて驚いていた。 何たって怪しいメールに怪しい招待状、 人に相談してもさすがに恥ずかしい。 だから誰も誰かに言わなかった、 だから誰にもわからず、 誰もがここに来るまでわからなかった。 そしてこの状況になった。 水戸 「にしてもあれだな! みんなこんなのに応募してたんだな!」 菜粡沙 「うっさい!…ハワイ行きたかったからよ!“私は!”」 孝 「…いや、みんな行きたくて応募してたんだろ。 そもそも水戸、お前も人のことは言えないだろう?」 水戸 「まったくさ(笑)」 ケラケラと笑顔で笑う水戸、 その横でむぅ、と顔をしかめる菜粡沙、 そしてクールに対処している孝。 そんな友人達を前に 不思議と不安感は薄れていった。 なによりみんなと一緒という感情が翔梧を支えていた。 だから、彼はただ日常的に 友人達と会話を楽しむことにした。
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