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拝啓
次第に寒さも和らぎ花の蕾も綻び始め山々が青く色づき出しました。
貴方がいなくなって2年目の春。
この2年間、私はずっと貴方だけを思いながら過ごしていました。
そんなことを言ったら貴方は笑うのでしょうね。
嘘を言うなって。
でも私は胸を張って嘘ではないと言えます。
本当に、貴方だけを思い続けているのです。
貴方が私の前からいなくなってしまったあの日、
愛し合う二人が引き裂かれたあの日、
私は身を引き裂かれるような激しい悲しみを感じました。
こんなに辛く、絶望的なことがあるのだと、初めて知りました。
私は毎日毎日泣きながら、悲しみに一人で耐えたのよ?
泣いたって、私を抱きしめる貴方の腕がないんだもの。
私を安心させる貴方の声がないんだもの。
いつも側にあると信じていた、貴方の笑顔がないんだもの。
貴方に分かるかしら。
私の心。
世界で一番、貴方を必要としていたのです。
世界で一番、貴方を愛していたのです。
なのに貴方は、まるで雲のように私の前から突然消えてしまった。
私を置いて、いってしまった。
愛する貴方に会えない日々はただ苦しかった。
貴方に、会いたい。
そう何度あの夜空の星に願ったことでしょう。
貴方に、会いたい。
会いたい会いたい会いたい会いたい…。
祈りは中々届かないの。
でもね、愛しい人。
神様は私達を見捨てなかった。
こんなに愛し合う二人を見捨てなかったの。
私、やっと貴方に会えるのよ。
愛しい貴方に会いにいける。
嬉しい報告でしょ?
待っててね。
すぐにいくから。
そうしたらそちらで、二人で幸せになりましょう。
敬具
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