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俺は戦慄した。
もう二度と目にしないと信じていたあいつからの手紙。
逃げるように前の家を離れ、2年前から住み始めたこのアパート。
俺はポストに、ダイレクトメールなどに混じった見覚えのある薄いピンクの封筒を見つけた瞬間、これが夢であることを祈った。
しかし、あいつがここを知っているはずはないのだ。
前の街にはここに繋がる手掛かりはほとんど残さないようにしたし、何よりどんだけ離れていると思ってる。
偶々同じ封筒なんだと思い、取り敢えずそれを握りしめ今のアパートの部屋に入った。
そんなはずない。
そう思うのに扉を閉めた瞬間震える手で鍵をかける。
普段はかけ忘れる方が多いのに。
そして他の手紙はそのまま封すら切らずゴミ箱に捨てた。
俺は薄いピンクのみを手に、壁に背をつけ床に座り込んだ。
違うに…決まってる。
だが、その望みは脆くも崩れ去る。
中身はまるで恋人を失ったかのような悲劇が綴られていた。
それを見たと同時に俺の背中に冷たいものが伝う。
2年前と同じ恐怖が襲った。
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