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そこで彼が牢に繋がれた話を聞き、助け出すためにと数日をかけて情報収集を行っていた。その最中、拠点としていた場所で狭や現八が謎の輩に襲われる。
「信乃!あれは、狭子ではないか!!?」
この時、共に偵察へ行っていた小文吾が、ある方向を指す。
「!!!」
群青色の髪をした忍びと刃を交える現八を目の当たりにした某は、その少し離れた所に、白髪の男と共にいる人物―――――狭の後姿が目に入る。
我らのいた場所は彼らから少し離れていたため、何を話しているのかは聞こえない。しかし、彼女の後姿を見る限り、狭は白髪の男に右腕を掴まれているようであった。
「狭!!?」
すると、男は右手で狭の首筋に一撃を加えて気絶させてしまう。
右腕だけが吊り上げられている状態になってしまった彼女を、己の右腕で抱えようとする白髪の男。
「…っ!!」
この事態を某と同時に、現八も気がついていたと思われる。
しかし、彼は別の敵と戦っているため、狭の所へはなかなかたどり着けない。「このままでは狭が攫われる」と直感した某は、敵の元へ走りながら、脇差・桐一文字を抜いた。
キィィィン
刀と刀の交わる音が山林中に響く。
その後、何とか狭が連れ去られる事なく、その場は収まった。
「狭…!どこも怪我はないか…!?」
敵が去った後、地面に座り込む狭の側に駆け寄る某や現八。
「“純一を知っている”…って…どういう…こと…?」
「狭…?」
当の彼女は、某達の声が聞こえていないらしく、よくわからぬ台詞を呟きながら呆然としていた。
…よほど、怖い想いをしたのだな…
某は無意識の内に、狭の肩に右手を添えていた。その時、彼女の身体が小刻みに震えていたのを感じたからである。
「…兎に角、移動するぞ。小文吾、有力な情報は得られたのだろうな?」
「ん…?ああ!じゃあ、この場を移動してから、俺らが得た情報を話す!」
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