バレンタイン

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そりゃないだろ~!なんて騒いでる鞍馬さんを置いて、カウンターに出る テイクアウトのみの小さなお店だけど、鞍馬さんの作るケーキは評判が良いから。うん。流行ってる方じゃないかな? ショーケースに並んだ宝石のようなケーキ達を眺めていると、自然に笑顔になってくる 「あ、シロちゃん来てくれたんだ。後はお願いね」 厨房スタッフの森君がやっと解放されたって顔で私を見る。販売はあんまり得意じゃないみたい 販売スタッフが妊娠していなくなったからって私が雇われたんだけど、それでも常時人手不足なこのお店は、厨房スタッフも交代で販売に入る 厨房からは賑やかな怒鳴り声や笑い声が絶えず聞こえてくる ちょっぴり羨ましい 厨房のドアが閉まると店内は静寂に包まれる 静かなピアノのBGMが店内に吸い込まれていく ショーケースに並んだ今日のケーキのチェック オペラ、ティラミス、モンブラン 冬は茶色っぽいケーキも美味しそう。光沢の出たチョコレートはライトを浴びてキラキラ光ってみえる 「いらっしゃいませ」 ドアが開いて寒い風と共にお客様が入って来る 「今日はどれがおすすめですか?」 「今日はお子様とご一緒に食べられますか?でしたら、これとこれがアルコール抜きになっております」 この洋菓子店の名前は「レーヴ」。フランス語で「夢」 私はケーキと一緒に夢も売ってる
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