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バレンタインが終わった次の18日の土曜日
ちょっと間が開いてしまったけど、この日は久しぶりに鞍馬さんとラストまでの仕事だから
バレンタインは過ぎちゃったから、もう女の子の手作りが最強なんて聖なる魔力は無いかもしれないけど、鞍馬さんに本命のチョコを作ってきた
洋菓子店に手作りのチョコを二回も持ってくるなんて、ホントに馬鹿げてる
でも、気持ちだけでも伝えたいって、鞍馬さんの話を聞いたら抑えきれなくなってしまった
せめて、この手作りチョコに鞍馬さんのケーキに負けないくらいの気持ちを込めて渡したい
「お疲れ~!」
他のスタッフが次々と帰る中、鞍馬さんは次の日の仕込みをしている
「シロちゃんも今日は帰って良いよ~」
渡すなら、今しかない
「鞍馬さん!」
「おわ!手が滑った!シロちゃん。急に大声は止めて……」
バースデーケーキのプレートのおめでとうの文字が歪んでるのが見える
てか、鞍馬さんの顔を見る事が出来ない
「これ!遅れたんですけど、本命チョコです!返事が何であれ、ここを辞めるつもりは無いんで安心してください!」
一息で言った後、押し付けるようにチョコを渡して、店を飛び出した「言っちゃった……」
後悔はしてない
不安とは裏腹の達成感に笑いがこぼれる
けど、明日からどんな顔してバイトしよう
飛び出した外はチラチラと雪が降っていて、天使の羽が舞っているみたい
なんだか私の勇気を祝福してくれてる気がして、明日っからも笑顔でバイトに出れる気がした
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