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「して、みんなは目標を『全国大会出場』から『全国制覇』へ変えるんじゃな?」
再度確かめるように全員へ尋ねる佐川。
嵜垣中部員は全員が目を合わせた。
それは相談の眼差しではなく、確認の眼差し。
「はい!!」
部員全員が『全国制覇』に賛成し、嵜垣中の新たな目標がここに誕生した。
「ほっほっほ。君たちならそう言うと思っていたよ。わしも君らが全国制覇できるように全力でサポートするよ」
佐川は部員たちの返答を分かっていたが、やはり耳にすると気持ちいいのか満足そうに笑みを浮かべていた。
「さて、全国制覇を目指すにはそれ相応のきつい練習をしなければならないね。主将、これからの練習はどうする?」
「これからの練習……そうですね」
佐川に尋ねられ、優太は静かに考え始めた。
佐川の言うとおり、全国大会を制するには並大抵の練習では到底無理だ。
自分の発言で嵜垣中が全国大会へ進めるのかどうかが決まると言っても過言ではない状況に優太が悩むのは当然だ。
「……うん。よし決めました」
しばらく悩んだ後、優太が決心したように口を開いた。
その言葉に部内に緊張した雰囲気が漂い始めた。
「ふむ。それでは話しておくれ」
佐川に促され、いよいよ優太の口からこれからの練習について明かされる。
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