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「ん? なんだ? あれは」
何かを見つけたのか光成はその一点を凝視していた。
真二が視線をそれに向けると、そこには『目指せ!! 全国大会出場!!』と大きな文字で書かれた横断幕が貼られていた。
(あれは優太が書いた……)
それは冬季県大会前に優太がみんなの意識を高めようと腕をふるって作成した横断幕。
そして、そこには、今はもう引退した真中と大河の、そして今この場に居る嵜垣中の選手全員の目標である『全国大会出場』という文字があった。
真二たちはこの目標に向かってこれまで苦しい練習や試合をこなしてきた。
それほど真二たちにとってこの目標は大事なものなのだ。
「ああ、なるほど。これはお前たちの目標ってやつか」
光成もそれを理解したようで納得した様子で頷いていた。
だが、
「だけどなあ……こんな小さい目標じゃ、いつまでたっても全国には辿り着けないぞ」
光成はそれを拒否した。
真二たちが今まで信じてきた大切な目標を。
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