全国制覇

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「……兄さん、言って良いことと悪いことがあるだろ!?」  真二は言葉を荒げて光成を責めた。  自分たちが今まで信じてきたものを拒絶されて腹が立ったのだ。 「おっと、そいつもそうだな。悪い、謝るよ……ただなあ」  光成は素直に頭を下げた後も腑に落ちない様子で言葉を続けた。 「お前ら、俺ら白龍中の目標が何か分かるか?」 「何って……『全国大会優勝』でしょ?」  白龍中は4季連続で全国準優勝という好成績を残す全国トップクラスの超強豪校。  そんな学校の目標と言ったら『全国大会優勝』に決まっている。 「その通りだ。俺たちは馬場のおっさん達が海帝学園に奪われてしまった全国大会の優勝旗を取り返すために毎日練習に明け暮れている」  馬場のおっさんとはおそらく真二たちの2つ年上の馬場 謙吉の事だろう。  光成は真二の返答に頷いてそれを肯定した。 「なら、お前たちと同じ鹿児島県のチーム、風堂中の目標は分かるか?」 「えっ? 風堂中の目標?」  今度は返答に悩む真二。  風堂中は毎回全国大会に出場する程の強豪校だが、肝心の全国大会では未だに1勝した事が無いと聞いた。  それなら、全国大会で1勝が目標か。それともせっかく全国大会に出場するので優勝が目標か。あるいは全国ベスト4等の細かい目標なのか。  答えが分からず、真二は悩んでいた。
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