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「だろうな。全国制覇を目指す風堂中と全国大会出場を目指すお前たちじゃ、差がつくのは当然だ」
光成は真二たちの惨敗を当たり前かのように言い放つ。
「でも、目標が違うだけでなんであんなに実力差がつくの?」
真二は考えた。
いくらあちらの方が高い目標を立てているとはいえ、相手は自分たちと同じ中学生。
体格的にそんなに変わらないはずなのに、一体なぜあれほどまでに実力差がついたのか。
「そんなもん決まっているだろう」
呆れたようにため息をついた後、光成は真二の左胸――心臓がある部分を指差した。
「高い目標を立てれば立てるほど、それだけ練習の量と時間が増えるのも原因だが、一番は覚悟の量だ」
「覚悟の量……」
真二は光成の言い放った言葉を繰り返していた。
覚悟の量、確かに全国制覇を目指す白龍中や風堂中のそれは全国大会出場を目指す嵜垣中を遙かに上回るものだろう。
「……まっ、今の目標のままだったら勝ち進めたとしても九州大会の初戦敗退がオチだと言うことを教えといてやろう。それじゃあな」
光成は最後に再度目標を変更するように促し、部室から去っていった。
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