1stPRIDE:蒼き狼の影

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…コォォォン!!タンッタンッ!!キィッ!キュアア… ダークグレーのインプレッサが不格好ながらにテールをスライドさせ、南賀知山(ナカチヤマ)を上って行く。 シューーーーゥン!!バンッバンッ!! 排気管が火を吹き、加速を促す。 「今のスライド…結構グラついてたな?」 ナビシートで呟く大貴。 「うっせぇなぁ。ようやくこの車に慣れてきたばかりなんだ。上手く流せるまでまだまだ掛かるさ。」 「てか、お前の方はどうなんだよ。あのターボのジャンク乗りこなせてんのかよ。」 ここぞとばかりに攻め入る。 「今、それ聞くか…?」 「つかジャンクとは聞き捨てならんな、頭金だけで買えたチューンかーがあれしかなかったんだ。俺が金無いことは知ってるだろうが。」 少し落ち込んだ様子で続ける。 「そういえばこの前ここら辺りでテール擦ったんだよなぁ…。」 擦ったと思われる黒色の塗料が付いたガードレールを横目に大貴は更に落ち込む。だがそこのコーナーはそれほどRもキツくなく、ちゃんとブレーキングしてから進入すれば簡単に抜けられるコーナーだった。 「…んで?バンパー直したか?」 ハンドル片手に指で肩を突く。 「いんや。今金なくて、それどころじゃねぇよ…。Rに悪いけどしばらく凹んだままだ。」 軽くうなだれ、疲れた様子で語る。 「ははん。どおりで俺のクルマに乗せろとか言う訳だ。バトル観戦にバンパー擦ったクルマで行くのはカッコ付かないよな(笑)」 クスクス笑いながらアクセルを踏み込んでゆく。 「ったく…そんなに笑うなよなぁ。傷付くぜ。」 そんな事を言いながらナビシートでカーステを弄りはじめた。 「~♪~♪」 ボリュームを上げると、俺の好きな曲が流れた。 「…お前も好きだよな。その曲。」 中学の頃から擦り切れる程聞いてたCDを未だに車に詰んでる辺り、俺も相当な物好きなのだろう。 「ん?…おいおい、前から二台の対向車来てるぞ!!」 音楽に聴き入っていて気づかなかったが、どうやらアタック中の走り屋みたいだ。
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