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既に2コーナー先にはテールスライドするスキール音が聞こえていた。
「路肩に寄せないと、ぶつかるぞ!!」
大貴は焦った様子で喚く。
「少し減速してれば、あとはあっちが避けるさ。」
強めにブレーキを踏みこんで、規定速度までスピードを抑えた。
なんて事をやっていると前から蒼い影がスライドし、目の前に現れた。
シューーーーゥン!!キィィィンキィィィン!!フォン!フォン!フォン!
戦闘機に似たキンキンするロータリーのエンジン音、後輪が激しくスモークをあげて鋭くコーナーに切り込み、イン側ガードレールギリギリでフロントバンパーを擦るか擦らないかの距離を凄まじいスピードとアングルでスライドしてきた。
瞬きをするあいだにはもう俺達のクルマのサイド駆け抜けて行った。
ズゥオン!!
「うわぁっ…!!」
あまりのスピードに圧倒されて、ハンドルが遅れた…。
キィィィ!!!!!
ガツンとブレーキを効かせサイドを引いた。
コーナーにぶつかるすんででなんとか止まった。
「うおお…。肝冷したぜ、死ぬかと思ったぁ…。」
二人して同じ事を呟いた。
「ぷふっ…あははははは。」
そして同時に笑った。
「あのクルマ、多分後期FCだな。凄かった…。」
「ああ…。驚きすぎて真っ白になっちまった。」
その走りは衝撃的だった…。
全身の細胞という細胞が、本能が昂った。蒼い残影を眼に焼き付け一瞬で俺達の前を掛け抜けて行った。
その激しいブラックマークと焼けついたゴムの匂いがテールスライドの凄まじさを物語っていた。
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