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ギャラリーは騒然とした…。
「…あの、FCのドライバーっすか?」
彼は胸ポケットからジッポと赤箱タバコを取り出して火を付けると、やはり不機嫌そうにそれを吹かしながら、答えた。
「ふー…だったら?」
少しソイツは考え、勝手に頷いた。
「ああ…、バトルか?ダウンヒル一本だけなら肩慣らしに付き合ってやる。」
「オレに構う奴は大体バトルしたがるからな。」
「初対面だってのになんだか見透かされたような気分だ…」
そう大貴に耳打ちした…。
「た、確かに奴とバトルしたくてここ通っていたようなもんだしな…」
ソイツはタバコを踏み消してポケット灰皿に入れるとやはりめんどくさそうに…
「バトルなら早くしろ。俺は仕事終わりで寝むてーんだ。」
少し声を荒げる。
少し考えてから…
「…バトルさせてくれ。俺のインプレッサがどれだけアンタのテールを見られるか試したい…。」
軽く鼻で笑いながら
「おいおいまさか追い付けるつもりかよ…そんなドノーマルのインプで。」
「ま、俺を起こしたんだから、きっちり全開で、来いよ?」
「んでよ…誰がスターターしてくれんの?」
大貴がスッと手を上げて
「俺がやるよ!」
「おう、頼むぜ。」
そう言うとスタスタと歩いて行きFCに乗り込んだ。
キュゥッガガッ!!ブロォン!!
「俺達も行くか!!」
インプレッサのシートに滑り込んでイグニッションキーに手を掛ける。
キュゥッガガッ!!ズウォォン!!!
シングルターボに火が入り
唸りをあげるインプレッサ。
スタート地点に並ぶ二台。
騒然としたまま立ち尽くすギャラリー達。
「両方!!準備は良いか!?」
両手を上げて、問い掛けてきた大貴。
「いつでもOKだ。」
FCの中から手だけ出して答える。
「俺もOKだ!」
ブォォン!!ブォォン!!ブォォン!!
グォォン!!グォォン!!グォォン!!
「3、2、1…GOー!!!」
両手が一斉に下がった!!
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