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何処にでもある普通のお花屋で鼻歌を歌いながらご機嫌に花の世話をしている女性が1人。
花屋で働き始めて2年たつ奈々は、いつもと変わらない毎日を過ごしていた。
「奈々さん。おはようございます」
「あっ…やだ、昌也さん…!」
奈々がお花に夢中になっていると、知らない間に後ろに男が立っていた。
優しい微笑みの彼の名は昌也。
奈々が片想い中の男性で、花屋の常連さんでもある。
「もしかして今の…聞いてました?」
好きな男の人に鼻歌を聴かれたなどと恥ずかしい思いをした奈々は、照れながらももしかしたら…なんて淡い期待を持ち思い切って聞いてみた。
「ふふっ。
まぁ…とても可愛らしい綺麗な歌声だったと思います」
奈々の気持ちを知ってか知らぬか、子供をあやすような微笑みを見せた昌也に、奈々はかぁっと頬を赤く染めた。
「お世辞ではありませんよ?
とても、綺麗です」
追い討ちをかけるかのようにもう1度言い直したことに、奈々は更に顔を赤くしてしまった。
口説き文句ともとれるその言葉は、まるで歌声ではなく奈々自身のことに聞こえてしまい恥ずかしさは増してしまう。
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