恋愛依存症～薄オレンジ色の薔薇～

花屋の娘

「奇遇ですね、直子さん。
貴女もお花を買いに？」

鈍感すぎる昌也は空気も読まずに火花を散らす女達の間に入り込んだ。
普通なら空気を読めない男の行動など火に油を注ぐだけなのだが、今の２人にはちょうどいいタイミングだったようで、ふっと空気が軽くなった。

嬉しそうにただ散歩していただけ…なんて直子は返事をすると、偶然会うなんて凄いですね…なんて昌也は言った。
昌也に会うために散歩していたなんていう事実も知らずに。

「そういえば昌也さん。今日はどのお花を探しにきたんですか?」

話しの流れを変えようと、奈々は口を挟んでみた。
すると昌也は当初の目的を思い出したようににっこりと笑った。