優しい死神

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*** 「まぁ××が死んでるわ」  男の子のお母さんは喜びながら、朝ごはんの支度をしています。 「アナタ××が死んだの」  お母さんは嬉しそうに言いました。  お父さんはお母さんの言った事を確かめようと男の子のベッドの方へ行きました。 「おや、ホントに××の首がないぞ……」  男の子のお父さんは困った顔をしていました。しかし、男の子が死んだ事を悲しんでいるわけではありません。  そんな家族の中でただ一人、男の子の妹は首のない男の子を見て涙を流しました。  その時です。  一粒の涙が綺麗に切り落とされた首の断面に滑り落ちていきました。  すると、どうでしょう。  男の子の首がひょこっと生えてきたではありませんか。  妹は手を叩いて喜びました。 「お兄ちゃんが生き返ったわ」  男の子は妹を抱きしめてありがとうと言いました。  そして、二人はいつまでも幸せに暮らしました。
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