夏のいたずら

6/6
11人が本棚に入れています
本棚に追加
/65ページ
夏の暑さは相変わらず不快指数と比例して、蒸し暑さばかり増し、子供の頃日射病と言っていた病名が熱中症というものに変わり猛威を奮っていた。 あの偶然、亜弥に出会えた出来事以後、オレは、少し明るくなったと思う。 仕事にも前向きに取り組むようになったし、惰性で生きている感じも少しは変わった・・・気がする。 亜弥に会ったのが先週の水曜日。 今日がその水曜日。 (誰も問題起こすなよ~誰もオレを誘うなよ~) 5時近くなってソワソワしだした。 どうしたんですか?って部下に聞かれたけど、トイレってことにして、そのままゴーホーム。 ・・・会えなかった。 先週会った電気屋の前を30往復くらいしたけど、それ以上うろうろすると不審者だと思われそうだったので諦めた。 今日に限ってテレビモニターが点いてないのもオレの行動をカムフラージュできなかった要因の1つではあった。 ・・・そうだよな。 なんの確証もないんだよな。 先週の水曜日に会ったから今週もここにくるとは限らないし、先週はたまたまこっちに何か用事があっただけかもしれないし・・・。 ・・・!!!!その時、雷に撃たれたように体を衝撃が走った。 あ・・・オレってバカだ・・・。何を浮かれてんだ。 42歳だぞ。 結婚してるに決まってる。子供だって・・・。 そう考えたら先週の水曜日の急にアタフタ帰っていった様子も納得できる。 子供のお迎えか、旦那が帰ってくる時間に間に合わせるのか、どっちかだよな。 ・・・あほらし・・・帰ろ。 だよなぁ そんな・・・出来すぎてるよなぁ。 明日からまた元の生活に戻るだけだ。 大したことじゃない。 ・・・大したことだよ。 ・・・でもどうしようもないじゃないか。 自分のことを棚に上げて、奇跡みたいな偶然に自分の運命や亜弥との再会に何かを期待して…。 ・・・自分の短絡的思考に我ながらがっがりして、またいつもの日常へ埋没していった。 ほんと・・・神様がいるのなら、悪戯が過ぎるって言いたいよ。 ・・・しかし、数ヶ月後今度はちゃっかり感謝することになる。
/65ページ

最初のコメントを投稿しよう!