秋の・・・

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あのジェットコースターのような夏の出来事から数ヶ月。 仕事はなんとかこなし、また1日1日をサーキットトレーニングのように規則正しく積み重ねていた。 そんなとき、久しぶりに幼なじみの純が東京にでてくると言うので、夜会うことになった。 純はあの夏の高校野球が終わった後、大学のスカウトの目に止まり、中堅の大学に進み、今では田舎で教師をしながら野球を教えている。 結婚もして、子供も2人・・・奥さんも器量よし。 絵に描いたような理想的な家族だ。 オレが店に行くと、もう純は来ていて1人で飲み始めていた。 ・・・気のせいか?背中が寂しく見える。 「悪いな、少し遅れたか・・・」 「いや、オレが早かったんだ」 「純・・・オレの気のせいならいいんだけど・・・なんかあったか?」 「・・・さすが、恭。ごまかせねぇな」 「その話がしたくてわざわざ東京にきたんだろ?」 「・・・・・・」 純はフッと視線を落とした。 純と同じ生ビールを頼み、少し遠慮がちにグラスを合わせた。 「・・・で?」 「・・・でって、簡単に話せる内容ではないな」 ーそんなに込み入ってるのか・・・。 なんかオレまで気分が滅入ってくる。 「...加奈がさ、別れたいって」 ・・・?!! 「どうして・・・あんなに仲良かったじゃないか!」 「まぁ・・・大きな原因はすれ違いなんだろうけど、決定的だったのは、子供の中学校の試験の最終面接が親子面接で、よくありがちだけど、その日は顧問してる野球部の試合で、オレはそっちの試合を優先しちゃったわけ」 「・・・確かにありがちだな・・・で?」 「・・・で?って?」 「そんだけじゃないんだろ、隠すな!」 「・・・ったく、長く幼なじみは、やるもんじゃねぇな」 「お前がオレの癖がわかるように、オレだってわかるよ、お前ほどじゃないけど」 「・・・かなわないな・・・ご推察通り、女だ」 「は?お前、加奈ちゃん一筋だったじゃないか」 「恭、勘違いすんな。オレは加奈一筋だ。それは今も変わらない」 「んじゃ、なんなんだよ」 ーなんでも、純は全く浮気とかそんなことをしたわけでなく、女の人と少し話をしていたところを加奈ちゃんに見られて、それからギクシャクしているらしいー要約すると・・・。 「・・・お前のせいだ」 「はっ!!?」 「奈美・・・覚えてるか?」 ・・・奈美・・・。 ・・・おとなしくて、可愛い感じの子だった・・・。中学の頃、亜弥の親友をオレが好きだと噂が流れ、少しドタバタした、その親友と言うのが奈美だった。ただそれ以上も、それ以下もなくて、言葉通り噂だけが、先行したのみだったはず。
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