秋の・・・

4/12
前へ
/65ページ
次へ
次の日は休みだったこともあり、昼前までずっと、ぐだぐだして過ごした。 昨日の一件を考えなくてはいけないのだが、考えたくない。 ・・・結局、純の相談に全くのってやれなかった。 奈美はオレの何を知りたいんだ?こんな歳にもなってさ。 考えなくてはいけない核心を避け、そんな奈美がどうしたとかウダウダ考えてるからこんな時間だ。 [ヨシっ] 声を出して、立ち上がり、まず洗濯から始める。 ドラム式の最近買った洗濯機に洗剤とお気に入りの柔軟剤を入れると気分も徐々に活力に満ちてくる。 掃除は1人暮らしなのでよほど忙しくなければ、そんなに汚れることはない。 ただやはり最近の住宅事情なのか、すぐに埃が掃除をしたそばから付いてしまう。 とかやってるうちに午後の3時を回っていた。 ・・・腹減ったな・・・買い物行ってくるか。そう言えば今日はまだ何も食べてない。 外にでて、少し歩いていたら気が変わった。 ・・・リンゴの樹で何か食べよ。 リンゴの樹はここに越してきてから何かにつけて通っているカフェだ。 いくら酒に弱いからと言っても一杯のビールだけなので二日酔いにはならない。食欲は普通にある。 店の奥のいつも座る指定席に座りカレーセットをオーダーする。 ここのカレーはさほど辛くなく、かといって甘くなく、オレ好みの味なのだ。 雑誌読みながら行儀悪く食べることに贅沢さを感じることができる ・・・などとウンチクを考えているうちに、カレーを平らげコーヒーを頼む。 今ではタバコもやめたのでコーヒーを飲む時間も短くなったが、タバコを吸っている頃は熱いコーヒーが飲み終わる頃にはアイスコーヒーに変わっていた。 腹も満たされたことだし、帰るかぁ・・・と席を立ったとき、斜め前方の席に座っていたカップルが目に入ってきた。 ・・・亜弥。 相手の男はオレの知らない男だった。(旦那か・・・) 込み入った話をしているのか、2人は額がくっつく位の距離だった。 ・・・何も、オレのお気に入りの場所で・・・。 なんともやりきれない気持ちを抑え、帰ることができなくなった状況にうんざりした。 どうしたって、帰るためには亜弥の横を通らなければならない。 あ~あ・・・どうしよう。 早く帰ってくれないかなぁ。 ・・・って思ってる一方で何を話してるか聞きたい衝動もある。 ・・・ジレンマ・・・
/65ページ

最初のコメントを投稿しよう!

10人が本棚に入れています
本棚に追加