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ジリジリとした時間ばかり過ぎる。
オレが店に入ったのが
15時30分、今は17時30分。18時になったら何かしらアクションあるだろう・・・なんてぼんやり外を見ながら考えてた。
カタッと音がした。その方向を見ると、亜弥の前に座ってた男が席を立ちレジでお金を支払って出ていくところだった。
あれ?亜弥は・・・。
下向いて、うなだれるように、一点を見つめてる。
あのときのオレは自分で言うのもなんだけど、なんのためらいもなく、亜弥の目の前に立ったんだ。
「・・・柴咲」
「えっなんで?久遠くん?」
「・・・大丈夫か?」
「ずっと居たの?」
「あ いや あそこにかなり前からいたんだけど、帰りにくくなっちゃって」
「・・・バカ!!」
・・・えっ? えぇっ?
「ほんと、久遠くんってタイミング 最悪」
「・・・よくわからないけど、悪かった」
「なんで謝るのよ」
「なんでって・・・謝った方がいいかなと思って」
「何か私に悪いことしたの?」
「いや、別に・・・」
「もう 嫌だ!久遠くんのバカ!」
「あのさ・・・向こうのオレの席に移らない? ここ、目立つから」
はっとした顔で亜弥は回りを見回す・・・。
何人かの客がチラチラこちらを見てる。
亜弥は顔を赤くしてそそくさと席を移動した。
「何も聞いてないから。あんなに離れてたし、ほんと何も聞こえなかったから。帰ろうって思って、立ち上がったら柴咲が見えたもんで、なんか帰りずらくなってさ」
(別に悪いことしてないのに言い訳みたいだな・・・)
「ほんと、久遠くんってタイミング悪いよね。いつもいつも」
・・・いつも いつもって・・・
「20年以上前に田舎の駅で会ったときも、この前も・・・今日もだし」
「あの~一体何のことでしょうか」
「今日は、時間がないの。久遠くんには話したいことがたくさんあるから、また時間作ってよ、いい?」
「・・・え うん」
亜弥は椅子を引いて立ち上がりながら・・・
「○○だから。もう後悔したくないから┅電話ちょうだいね。
じゃ・・・ね」
○○だから?なんて言ったんだ?椅子の音に消されて聞こえなかった。聞き返そうにも、あっと言う間に帰っちゃうし・・・なんなんだ。
携帯の番号だけ紙ナプキンに書いてオレの手にあった。
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