10人が本棚に入れています
本棚に追加
よくわからない状況から3日、冬の足音がもうすぐにそこまで聞こえてきてる。
黄昏時って言葉が似合う、近くの銀杏並木の道は金色に輝く。
モノトーンな色合いが暖かみを増して恋人たちは寄り添いながら歩いてる。
すべてが調和している。
オレは・・・調和してない。
亜弥との一件以来、なにかモヤモヤが晴れない。
銀杏並木のベンチでスタバのコーヒーをすすりながら、あーでもない。こーでもないと考えて早一時間。
仕事の途中の時間ということもあり、辺りは閑散としている。
あ~ぁ仕事に戻るか・・・
ー着信音ー
ん?電話だ。誰だ?
こんな番号知らないぞ。
まさか、亜弥?
いや、亜弥は登録してある。
┅亜弥の旦那か!?
もはや、泥沼。
何もしてないのに。
なら、もはやと言う表現は違うか┅。
なんてことを、考えたけど大体仕事絡みの電話なんだよね。
・・・もしもし?
―久遠さんのお電話ですか?
・・・はい、そうですけど・・・
ー良かったぁ・・・今、大丈夫ですか?
・・・あ、あの~ どちら様ですか?
―ちょっとショックだけど20年近く前に会ったのが最後だから覚えてるわけないよね。
急に口調が距離感を詰めてきた。
ちょっと待て・・・この甘ったれた感じの話し方・・・聞き覚えがある。
・・・マナ よしえ じゅんこ・・・!!?CPUフル回転
・・・相原奈美。
ーピンポーン。うれしい覚えててくれたんだ。
(・・・このフレーズ聞き覚えがある)
・・・なんで、相原が?
―なんか、久しぶりなのに、つれない感じ。
もう少し感動的な受け答えはないわけ?
久遠くんに少しは優しくされる権利が私にはあると思いますが・・・。
最近、奈美の話がどっかででたよな・・・。
どこだ?どこでだっけか・・・。
あ・・・純だ。
あの居酒屋での会話がフィードバックする。
純が加奈ちゃんとケンカする原因になったっていうのは確か、奈美だって言ってなかったか・・・。
オレが離婚したことも知ってたって言ってたよな。
薄れゆく記憶を必死こいて手繰り寄せる。
・・・いづれにしても、一体今頃・・・?
先ず、冷静を装って、無難に切り上げよう。
・・・しかし、ほんと久しぶりだな、元気だったか?
―久遠くん、無難にやり過ごそうとか考えてない?
・・・え―!!まさか・・・考えてないよ
(図星)
ー ふーん・・・あのさ・・・話がしたいんだけど。
(話がしたいんだけど?・・・これも最近聞いたフレーズだな。
う―ん これは一体・・・)
・・・今じゃダメなの?
―ダメ。
こりゃ 困った。
ー今度の土曜日、空けといて、また電話する・・・じゃね。
プツッ・・・。
最初のコメントを投稿しよう!