秋の・・・

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オレが亜弥のことを好きになったきっかけも・・・ オレたちが中学の頃って、まだグランドがでこぼこだったり、学校の敷地内のアスファルトに穴が空いていたり、あまり良いとは言えない環境だった。 原因は社会背景の校内暴力や大人たちの事なかれ主義なんだと思う。 俗に言う見て見ぬふり・・・。 ある時、足が悪い女子生徒が車椅子で校門から入ってきた、たまたま、アスファルトの穴に車椅子の左の車輪が入ってしまい自力では抜けられなかった。 オレはそこまで少し距離があったので、急ぎ足で向かった。 あと少しで女子生徒の所に着くという時、一足早く車椅子を持ち上げて車輪を直してくれていた人がいた。 ショートカットの髪が乱れても気にする風もなく、制服に車輪があたって汚れても慌てず、小さい体を精一杯使って助けていた。 オレは少しの時間その小柄な女の子に見とれていた。・・・それが亜弥を見た最初だった。 「・・・ちょっと!┅見てないで手伝ってよ」 「・・・え!オレ?」 「他に誰がいますか?」 「あ、はい、すぐに」 ・・・これが亜弥との出会い。 今思えば、この時から圧倒されていたような・・・。 2人で車椅子を直して女子生徒がお礼を言って去ると亜弥は思い詰めたように、彼女の背中を見送りながら、「間違ってるよ」と、囁いた。 「え?」と聞き返すと、 「間違ってるって言ったの」 「何が?」 「久遠くん気にならなかったの?彼女私たちが車椅子直してる間中ずっと、すみません、申し訳ありませんって謝ってばかりいたんだよ。おかしいよ・・・」 悪いのは整備をしてない、学校だと亜弥は続けた。 そこまで一人でしゃべると、ハッとした顔をして、少しだけ頭を下げて走って行った・・・。 後日わかったことだけど、この日亜弥は転校初日で学校から言われた時間には大幅に遅刻して、こっぴどく怒られたそうだ。 ・・・それから亜弥を校内で時々見かけるようになり、名前も伝え聞いた。 そして偶然、必修のクラブ活動で一緒になり、話をするようになった。 ・・・あれ? ・・・今まで、疑問にも感じなかったけど、あの時、亜弥はオレのこと知ってた。確かにオレのこと名前で呼んでた。 転校初日だったよな・・・。 なんで知ってんだ?オレのこと・・・。
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