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「めんどくせーなぁ」これが本音。
今日はそんなことを差し引いても、良い天気・・・だから尚更、余計気分も滅入る。
オレの気持ちなんて無関係に、ポカポカ陽気に誘われて、紋白蝶が風の形に舞っている。蝶の流れていく様子に見とれていたら反対側の登り口から、まるで風景の一部のような、髪型はショートカット、瞳はクリッとした切れ長のアーモンド型で二重瞼。3年前のオレの知ってる少女にシンクロする。
風に流された紋白蝶が白いワンピースに同化したように見える。ゆったりと、でもしっかりした足取りで女の子が歩いてきた。
「・・・覚えてますかぁ?」小首を傾げながらオレの顔をのぞきこむ。
それまでオレの五感に春の匂いや、サラサラする感覚に似た音が触れてきてたのに無音、無臭になる。
一気に頭の中が3年前にフィードバックする。
(落ち着けぇ落ち着けぇ)
さも何事もないように・・・。
「柴咲?」
「覚えててくれたんだっ‼野球・・・惜しかったね」
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