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彼は、とても美しい人だった。  夏でも肌は透き通るように白く、髪の毛は日に当たると茶色く輝き、それと同じ色の澄んだ切れ長の瞳で見つめられると時が止まり、いつも笑みを湛えているかのような口元は瑞々しい果物を連想させるほどで、背丈こそ高くはなかったけれど、華奢な体つきにはそれがむしろちょうどよかった。 彼を初めて見る通りすがりの人なんかは、必ずと言っていいほど振り返えったし、中にはそのまま彼の後姿に向かって拝むものまであった。  だからきっと彼が神の使いだと、誰も疑うことがなかったのだと思う。  彼の全身からそういう霊気が出ていたのだ。
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