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「ねぇ、やっぱよそうよ~」
「大丈夫だって、なにもでね~よ」
夏の夜
男女は階段を上がった先にある墓地に肝試しに来ていた
神社の鳥居から階段の方を振り返ると、遠くにネオンの光がチカチカと輝いていた
「ここ、よくでるんだよ?」
「平気だって」
男は鳥居をくぐると、陽気に墓地のあるほうに歩き始めた
神社をよく見ると賽銭箱の木が腐っていて、鈴は誰も手入れしていないのか、錆びてボロボロになっていた
「ちょっと待ってよ~」
女はすぐに男のあとを追った
石の床を歩って行くと墓地の墓石が見えてきた
一列一列がきちんと並べられているが、かなり古いものであることは一目でわかった
石段の周りは草が生い茂り、墓石が雨の影響でくぼんでいた
「ホントに何もでないよねぇ」
「出ねぇって」
男がそう言った時だった
「きゃぁぁ!!」
「どうした!?」
「なんかに足を触れられた!」
「いや、そんなはずねぇーだろ」
「そうかなぁ」
「ただの勘違いだって、じゃあ帰ろうぜ?」
そう言うと男と女は、歩ってきたところを戻りだした‥‥
遠くのほうで叩く太鼓の音が妙に大きく聞こえた‥
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