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「おぉ~~!!」
全員が声をそろえて言った
「いやぁ~ながかったな」
五十嵐がそういうと田中が、うんうんと言わんばかりにうなずいた
「それでこれからどうしますか?五十嵐先輩」
「決まってんだろ、依頼箱にはいくつか入ってたからそれやろうぜ!田中、なんか取れ」
「了解」
田中は椅子から立つと、依頼箱と書かれたダンボールの箱を取り出した
そしてその中から一枚の紙を取り出し、それを俺に渡した
「えー、なになに、私は中学三年生の富田 直子です。こんなお願いをしてはなんですが、一本松神社に幽霊が出るらしいので調査をお願いします‥‥‥か」
俺は手紙を読み終わりみんなに見せた
「これは嘘っぽくないか~?」
と五十嵐は首を傾げながら言った
「でも、おもしろそうですよ?」
「確かに」
「うん、俺も田中と渡辺と同じ意見だ」
みんながそう言うと、五十嵐も
しょうがねぇな といいながら話にのった
「じゃあ、今日はもう遅いからまた明日な」
時計は午後6時を指していた
俺は、ベランダからの景色を見た
アパートのベランダからは、オレンジ色に輝く宝石が俺を包み込み、空には丸いダイヤモンドが散らばっていた
俺達は五十嵐の家をあとした
帰りの階段を下りている時、渡辺が言った
「明日は、何時に集合しますか?」
「そ~だな‥‥、田中、何時がいいと思う?」
田中は、肩下げバックのサブポケットからメモ帳を取り出しペラペラめくり始め、探していたページを見つけたのかめくるのをやめた
「明日、午後3時から曇り、午後6時頃からは雨、調査時間を考えると明日の朝7時」
「さすが田中、何で覚えてるんだ?」
「前からの癖がぬけない」
「まぁ、田中は探偵部の簿記係だからな」
「じゃあ明日は午前7時ですね」
「あぁ、五十嵐には俺がメールしとく」
階段を下り終わり、外に出た
辺りはすっかり暗くなっていた
「じゃあ、俺こっちだから」
「はい、お疲れ様でした!」
俺と渡辺と田中は、信号のない交差点をそれぞれ別々の道に歩っていった
「明日は、久々の依頼だ。絶対成功して見せるぞ!」
俺はそう心に誓うと、真っ黒なアスファルトの上を走った
風が強く吹き、道の端に咲いていたタンポポが小さく揺れた‥
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