第一章【東京】

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「……おーい」 谷川は僕の言葉をオール無視してそれだけ言うと、ホントにすぐ回れ右をして教室から走り去っていった。 ……心なし、泣いていたような気もする。涙飲めてないじゃん。 「……まぁいいか」 谷川が喜ぶ(悲しむ?)報告が出来るかは分からないが、鞄を肩に掛けてとりあえず屋上に向かう事にした。 教室を出て、廊下を進み、屋上へ続く階段を登る。 「……そういえば、」 登りきって、屋上に出る扉の前まで来た時にふと思った。 「天草とまともに話すのって初めてだな……」 緊張と好奇心と期待を足して三で割ったような感情を抱きながら、僕はドアノブをガチャリと回した。
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