第一章【東京】

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またそれか! 今日はそれ二回目だぞ。 しかし、天草が僕を呼び出した理由が見えてこないな。 告白とかは別に期待してないにしろ(嘘です、ホントはちょっと期待してます、ごめんなさい)、何故呼ばれたのか皆目見当がつかない。 「デパートの飛び降り?」 「そう、それ。あなた、」 天草が少しだけ体をこちらに向けた。 目や表情は逆光で見えないが、顔の輪郭が浮かび上がる。 「あれ観て、どう思った?」 「どうって……別に? 自殺なんて珍しくもないだろ」 「あれは結構インパクト強いと思ったけれど」 「俺もテレビで見たけどさ。確かに丁寧に揃えられた靴は印象に残ったけど、他人を巻き込むのはいただけないなー、くらいしか思わなかったぜ」 彼女の唇が薄く歪んだ。何となく気味が悪くなった。
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