第一章【東京】

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「……何?」 「どうしてそんな嘘をつくのかしら」 「嘘?」 「そうよ。だってあなた……」 天草は薄く笑ったまま、傾いてきた太陽を背にクルリとこちらを振り向いた。 逆光で彼女の姿が黒く浮かび上がる。 「……あんなにじーっと観てたじゃない」 逆光で表情は見えないが、天草はきっとまだ笑っている。 今度こそはっきりと思った。気味悪いとかじゃない、怖い。 なんだこの女は? なんで僕の事を監視してたような発言を? それに何より……、 「どうしたの、黙っちゃって。見られてた事にビックリ?」 こんな性格の子だったっけ? どこらへんが優しい大和撫子? ただのストーカーのドSじゃないのか?
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