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「……何?」
「どうしてそんな嘘をつくのかしら」
「嘘?」
「そうよ。だってあなた……」
天草は薄く笑ったまま、傾いてきた太陽を背にクルリとこちらを振り向いた。
逆光で彼女の姿が黒く浮かび上がる。
「……あんなにじーっと観てたじゃない」
逆光で表情は見えないが、天草はきっとまだ笑っている。
今度こそはっきりと思った。気味悪いとかじゃない、怖い。
なんだこの女は? なんで僕の事を監視してたような発言を? それに何より……、
「どうしたの、黙っちゃって。見られてた事にビックリ?」
こんな性格の子だったっけ? どこらへんが優しい大和撫子? ただのストーカーのドSじゃないのか?
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