第一章【東京】

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……今日は朝から気分が良かった。何故だろう。 学校へ続く道を歩きながら、僕はそんな事を考えていた。 月曜日の朝というのは基本的に憂鬱なものだと思う。 なんの変化も無い日常の繰り返しの出発点。 クラスに入れば必ずと言っていいほど「月曜がダルい」という発言が耳に入ってくるし、時には教師ですらそのような事を口にする。 僕自身、月曜日の朝に気分が良いなんて事は天文学的確率でしか起こり得ないと思っていた。 まして今は七月も後半に入り、連日猛暑なのだから。 ……まぁ、たまにはこんな月曜もあるかな。 結局、深く考えるのも面倒になって、そのまま校門のあたりで会ったクラスメートと馬鹿話しながら学校に入った。 だけど。 滅多に無い事が起きた日というのは、もはや日常ではない訳で。 僕が朝から元気だったのは、おそらく今日に何かが起きる前兆だったのだ。
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