第一章【東京】

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……ああ、やっぱり。 僕はその話で盛り上がる友達の様子をテレビの画面を見るように眺めながら、ぼんやりと思った。 ……ああ、やっぱりこんなものか。 どんな惨劇が起ころうとも、それはそれに関係の無い人々にとっては、代わり映えしない日常に時々現れる刺激であり娯楽でしかない。 報道された当初はワイドショーや週刊誌などから積極的に情報を得ようとするくせに、一週間もすれば興味を失って次の刺激へと食いついていく。 人間なんて、 「おーい、如月ー?」 「……え?」 気付くと、先ほど話を振ってきた奴、谷川 春樹(タニカワ ハルキ)が僕の顔を覗き込んでいた。 「何、ぼーっとしてんだよお前。受信中かー?」 慌てて叫んだ。 「違えよ! 勝手に人を電波キャラにすんな! フツーにあれだよ、寝不足!」 ぼーっとしてた時の言い訳は「寝不足」に限る。
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