第一章【東京】

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谷川は笑いながら続けた。 「そういやお前、昨日カラオケ誘ったのに来なかったよなー」 「家庭の事情だよ、ほっとけ」 「付き合い悪りーと友達なくすぞー?」 「カラオケ行かなかったくらいでなくすような友達なら、最初からいらねーな。つーか、別の用事があっただけだっつってんだろ」 そうは言いつつも、知らず、言い方がつっけんどんになったのは実際に僕の友達付き合いが良い方では無いのを自覚しているからだった。 というのも、日曜日は大抵、朝から「趣味」の為に出掛けているため、ほとんど遊びの誘いに乗った事が無いのだ。 昨日のように言い訳をして断るのが毎回なので、最近は遊びの誘いもあまり来なくなった。 寂しい事だと思われるかもしれないが、正直、言い訳のバリエーションが尽きかけていたので最近の状態はありがたかった。
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